ジャニーズ事務所現社長・藤島ジュリー景子氏 一連の問題について謝罪 ジャニーズ事務所の歴史 2000年には国会でも審議 日本の芸能界の”ガラパゴス”なシステム

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Gerd AltmannによるPixabayからの画像

 ジャニーズ事務所の前の社長であり、創業者であるジャニー喜多川氏(2019年死去)の性加害疑惑問題で、事務所の現社長である藤島ジュリー景子氏は14日午後、一連の問題について謝罪する動画と文書を発表した。

  藤島社長は、メディアなどからの質問に答える形で見解を表明。会社運営に関わる重要な事項については、喜多川氏とその姉の藤島メリー泰子元名誉会長(2021年死去)の

 「2人以外には知ることのできない状態が恒常化していました」

 と説明。

  性加害疑惑については、

 「当事者であるジャニー喜多川に確認できない」

 などし、事実の認定は避けた。

  一方、松野博一官房長官は15日の記者会会見で、

 「一般論として性犯罪、性暴力は被害者の尊厳を著し踏みにじる行為で、決して許されない。同意のない性的行為は性暴力だ」

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 と厳しく批判。

  藤島社長は辞職せず、自らが被害者対策や経営改革に取り組むことで責任を取っていくという。また、外国特派員記者会館で性被害を告発したカウアン・オカモトさんと面会したことも明らかに。

  ファン有志でつくる「PENLIGHT(ペンライト) ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会」は14日、謝罪を評価したうえで、

 「再発防止措置を講じるためには、何が行われ、見過ごされてきたのかを明らかにする必要がある」

 とした。

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ジャニーズ事務所の歴史


・ 1950年~60年代

 アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス出身の日系人であるジャニー喜多川が、アメリカ西海岸のエンターテインメントの影響を強く受ける。

 1952年に喜多川が来日し、アメリカ大使館の通訳として勤務する傍ら、宿舎の近所の少年たちを集めて野球チームを結成。 チーム名は、「ジャニーズ」。

 チームは映画館で「ウエストサイドストーリー」を鑑賞し、感動したことでダンスの演習を始める。

  1962年の渡辺プロダクションの系列会社としてジャニーズ事務所が創業。 1968年にフォーリーブスがデビュー。

・1970年代

 郷ひろみ、1972年にデビュー。以後、川崎麻世(1977年)、近藤真彦(1979年)、田原俊彦(1980年)デビュー。

 

・ 1980年代

 1982年にシブがき隊デビュー。1985年少年隊、1987年光GENJI、1988年男闘呼組デビュー。

・1990年代

 SMAP、1991年デビュー。その後、TOKIO、V6、Kinki Kids、嵐がデビュー。 滝沢秀明も人気を博す。

 1999年、「週刊文春」が

「芸能界で多大な影響力を持つジャニー喜多川氏がスカウトした未成年男子に対して優越的立場を利用し、性器を弄んだり、肛門性交するなどの虐待をしていた」

と報道。

・2000年代

 2002年、タッキー&翼デビュー以降、NEWS(2003年)、関ジャニ∞(2004年)、KAT-TUN(2006年)、Hey!Say!JUMP(2007年 年)デビュー。 

・2010年代

 NYC(2010年)、Kis-My-Ft2、Sexy Zone(2011年)、A.B.C-Z(2012年)、ジャニーズWEST(2014年)、King & Prince(2018年デビュー)。一方、2016年にはSMAP解散騒動が勃発。

2000年には国会でも審議

 「週刊文春」は1999年10月から連続して、複数の元所属タレントらの証言をもとにジャニーズ事務所についてのさまざまな疑惑についてキャンペーン報道を行っていた。 その後、「週刊文春」が提起した問題は国会でも審議されている。

 2000年4月の第147回国会衆議院の「青少年問題に関する特別委員会」で、自民党の阪上善秀代議士(当時)がこの問題を取り上げた。


厚生省(当時)「一般論としては児童福祉法に違反」

 【厚生省児童家庭局長】

阪上「ジャニー喜多川氏は、親や親権者にかわって児童を預かる立場であります。児童から信頼を受け、児童に対して一定の権力を持っている人物が、その児童に対して性的な行為を強要する。もしこれが事実とすれば、これは児童虐待に当たるのではありませんか。」

厚生省児童家庭局長「今御指摘の件は、性的な行為を強要した人物がこの手引(編注:平成11年3月作成の「子ども虐待対応の手引き」)に言います親または親にかわる保護者などに該当するわけではございませんので、私ども、手引で言うところの児童虐待には当たらないというふうに考えております。」
 
阪上「児童福祉法第三十四条第六号は、児童保護のための禁止行為として挙げておりますが、ジャニー喜多川氏の報道された行為が事実とすればこの法律に違反しているのではないかと思いますが、いかがですか。」
 
厚生省児童家庭局長「御指摘の個別事案につきまして、それを判断するための情報がございませんが、一般論といたしましては、児童に対しまして今申し上げたような性交類似行為をするということは、児童福祉法三十四条の六号に違反しているというふうに考えられると思います。」

警察庁「違反行為があれば、厳正に対処」

 【警察庁生活安全局長】

阪上「児童買春、児童ポルノ禁止法には抵触しませんか、お伺いをいたします。」

警察庁生活安全局長「個別具体的な事案にかかわる捜査でございますので答弁は差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますならば、児童買春、児童ポルノ法では児童買春をした者を処罰することといたしておるわけでございますけれども、児童買春とは、児童等に対しまして、対償を供与し、またはその供与の約束をして、当該児童に対しまして性交等をすることと規定されております。これに違反するような行為がございますれば、具体的な証拠に基づきまして厳正に対処してまいりたいと考えております。」

阪上「ジャニー喜多川氏のこのようなセクハラ行為は、今後警察庁としてどのように追及し、捜査をされようとしておりますのか、決意のほどをお伺いいたします。」

警察庁生活安全局長「青少年の健全育成は大変重要な私どもの任務と考えておるところでございまして、今後とも、少年の健全育成のためにあらゆる施策、そしてまた各種の法令を適用いたしまして各種の事案に対応して、健全育成を図ってまいりたい。また、関係機関とも緊密な連携をとってこの問題に対処してまいりたいと存じます。」

法務省「一般論としては、強制わいせつ罪が成立」

 【法務省刑事局長】

阪上「十二歳の少年がセクハラ行為を受けたという報道もありましたが、刑法によれば、十二歳以下の少年にわいせつな行為をした者は強制わいせつ罪にも問われると思いますが、いかがですか。」

法務省刑事局長「一般論として申し上げますれば、刑法では、十三歳未満の少年についてわいせつな行為をしたときには、それ自体で強制わいせつ罪が成立することとされております。」

阪上「条例違反や児童福祉法違反、強制わいせつ罪は、被害者からの訴えがなくても捜査の対象となると思いますが、いかがですか。」

法務省刑事局長「今御指摘のような犯罪につきまして、被害者からの被害申告あるいは告訴、このようなことが捜査を開始する要件とされているわけではないというふうに理解しております。」

「NHKの電波が一事務所の意向で左右されてはならない」

【郵政省放送行政局長】

阪上「NHKの電波が一事務所の意向で左右されることがあってはならないと思いますが、郵政省はどのような御指導をされておるのか、お伺いをいたします。」

郵政省放送行政局長「お尋ねの件でございますけれども、これはまさに放送事業者たるNHKの番組編集権にかかわる問題でございまして、NHKみずから判断すべきものというふうに考えているところでございます。ただ、一般論として申し上げますと、NHKはその公共性を十分配意いたしまして、番組編集に当たって適切に対応されるものというふうに期待しているところでございます。」

 日本の芸能界の”ガラパゴス”なシステム

 ジャニーズ事務所現社長の謝罪を受け、ジャニーズ所属タレントをCMなでで起用する企業は、

「世間の反応をみながら対応を決める」(製造業)

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であるとか、アサヒグループホールディングスや日清オイリオグループの

 

「性加害が事実であれば遺憾」

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であるとこか、金融関係のスポンサー企業の

「タレントの起用は継続する方針だが、ジャニーズ側からのアクションを待っている」

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や、

「今後のキャンペーンで起用するかは未定だ。今回のケースはタレントが悪いわけではないので、判断が難しい」5(過去に所属タレントを起用したことがある小売企業)

 とのコメントをだしているものの、残念ながらこれら各企業も”同罪”と断じざるを得ない。

 そもそも世界を見渡せは、“一流の”のタレントをテレビコマーシャルに起用する国は少数派。世界では、真のエンターテイナーは、一流の“アーティスト”であり、各企業の“広告塔”ではないからだ。

 今回の問題が映し出す姿は、日本の芸能界は、「アーティストはおらず、所詮は各企業の“広告塔”ばかり」の三流ショービス界であることを象徴している。

  1. 西日本新聞「ジャニーズ社長 謝罪」2023年5月16日付朝刊、1項
  2. 西日本新聞「謝罪一方、狙う幕引き」2023年5月16日付朝刊、26項
  3. 西日本新聞、2023年5月16日、26項
  4. 西日本新聞、2023年5月16日、26項
  5. 西日本新聞、2023年5月16日、26項
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