「水と安全はタダ」といわれていた日本は、もはや過去の時代になってしまったことがわかった。
4月23日に北海道斜里群斜里町の知床半島の西海岸沖のオホーツク海域で沈没した「KAZU l」の沈没事故・知床遊覧船沈没事故は、数々の安全対策の不備が明らかとなるとともに、これが21世紀の日本で起こるとは、という信じられない事態を生み出す。
一方で、2005年のJR福知山線の脱線事故(死者107名、負傷者549名)、を皮切りに、2007年のあずみ野観光スキーバス事故(運転手が死亡、乗員・乗客26名が重軽傷)、2012年の関越自動車道高速バス(乗客7名が死亡、乗客38名が重軽傷)、16年の軽井沢スキーバス事故(乗員乗客15名が死亡、乗客26名が重軽傷)など、とくに2000年以降もさまざまな重大事故が発生。
このような事故が発生するとともに検討会が立ち上がり、さまざまな安全対策が考案されてはいたが、重大事故はなくならない。
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事故発生までの経緯
4月23日の出港から事故の通報、捜索までをまとめた。
観光遊覧船「KAZU l」(19トン)は、乗客・乗員26人が乗り、斜里町のウトロ港を午前10時ごろ出港。
子ども2人を含む乗客24人と船長と甲板員1ずつ合わせて26人が乗り、知床半島の先端にある知床岬を折り返し、午後1時にウトロの港に戻る予定。
運航会社は23日に、ほかの会社に先駆けて今シーズンの運航を始めたばかり。しかしながら、この観光船とは別の運航会社が記者団の取材に対し、
海が荒れるのが分かっていたので、『行くな』と言った。なぜ行ってしまったのかと思う
と語っていた。