世界各地で異常気象が観測 欧州、過去500年で最悪の干ばつ パキスタン、洪水で国土の3分の1が水没 気候変動の一因のひとつ、「極端現象」の現れか

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 日本、そして世界で異常気象が相次いで発生している。

 日本では、「記録的」な早さで梅雨が明けるとともに、6月下旬から7月の初めには、「記録的」な猛暑が到来。8月22日、気象庁の検討会は、この暑さについて「異常」との見解を示す1

 異常な気象は日本だけでなく、世界で観測。中国では異常な熱波と干ばつが70日間もつづく。インドでは今年だけで、200日間も熱波が観測。

 ヨーロッパでは過去500年間で最悪の干ばつに見舞われた。イギリスでは1935年以来、最も乾燥した7月となり、その間、2度の熱波が到来した。水位の低下により、世界各地で古代遺跡が発見されている。

 極度の干ばつに見舞われる国がある一方、パキスタンでは集中豪雨により1100人以上が死亡するなど、世界の気候が不安定化。

 韓国のソウルでは、過去80年間で最多の時間雨量を記録、各地で土砂崩れが発生。中国では干ばつに見舞われる地域があるとともに、一部で鉄砲水が発生している。

 このような異常気象は、地球温暖化による気候変動の要因のひとつである「極端現象」の現れとみることもできる。

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欧州 約6割の地域で干ばつ 過去500年で最悪


 欧州では60%の地域で、渇水や干ばつの危険にさらされていという報告を、欧州委員会が8月23日に公表。

 これは、ヨーロッパのほぼすべての河川が、何らかの形で水位が下がるなどし、結果、過去500年で最悪の渇水状況が続いていることを意味する。

 欧州委員会の欧州干ばつ観測所(EDO)は8月の報告で、欧州大陸の47%が干ばつの「警告」の対象にあると指摘2。これは、土壌が乾燥し、干上がってしまっていることを意味する。

 さらに17%の地域が「警戒」すべき状態で、植生が「ストレス受けている」状態であるという。

 報告書では、現在の状態は農作物の収穫に影響し、あるいは山火事の原因となり、ヨーロッパ南部の一部では、今後、この状態がさらに数カ月続く可能性があると指摘する。

 このことを受け、欧州委員会は、

 現在の干ばつは引き続き、少なくとも過去500年で最悪の様子

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とした。

 報告書によると、状況はイタリア、スペイン、ポルトガル、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、ルーマニア、ハンガリー、セルビア北部、ウクライナ、モルドヴァ、アイルランド、イギリスなどが影響を受けているとした。

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パキスタン モンスーンの洪水により国土の3分の1が水没 1100人が死亡

 パキスタンでは6月から続くモンスーン(雨期)の洪水により、国家防災管理局(NDMA)は8月29日、死者が1136人に上ったと発表。

 シェリー・レーマン気候変動相は、国土の3分の1が水没しており、

 想像を絶する規模の危機

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に直面していると述べる。

 この洪水について、欧州宇宙機関は1日、平年の10倍の降雨量が原因となったのと見解を示すとともにインダス川の氾濫により、広大な「湖」が生じたとした5

 これまでに少なくとも1190人が死亡。農地も広範囲で水没し、家屋100万戸以上が損壊した。

 欧州宇宙機関は救助活動の支援のため地球館環境モニタリング計画「コペルニクス」の衛星データを使用し、宇宙から洪水の規模を測定したと発表。

 結果、6月中旬の降雨量は、「通常の10倍」であり、これが国土の3分の1を水没させるほどの洪水を引き起こしたと説明。

 さらに、南部ラルカナとデラムラードジャマリの間で、氾濫したインダス川が

 幅数十キロの長い湖を事実上形成

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している地域の衛星写真を公開した。

 

地球温暖化による気候変動がさまざまな異常気象を引き起こす 極端現象とは

 地球温暖化の現象は、さまざまな激しい気候変動を繰り返しながら徐々に地球の気温が上がっていく現象であるが、しかし、平均気温の上昇以前に、熱波や豪雨、干ばつなどの異常気象を世界各地で発生させることが分かっている。これを「極端現象」という。

 極端現象とは、極端な高温や低温、強い雨など、特定の指標を超える現象のこと7。 具体的には、最高気温が35℃以上に猛暑日や、1時間あたりの降水量が50mm以上をこえる強い雨が降るなどする現象。

 極端現象は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書で、「extreme event」と記されている。一般的には、「異常気象」とう言葉が用いられるものの、国際的には異常気象についての基準はなく、気象庁は、

 ある場所(地域)で30年に1回程度発生する現象

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と定義する。一方、この極端現象は、30年に1回という基準に限らず、比較的頻繁に起きる現象のことをいう。

 2007年に発表されたIPCCの第4次評価報告書では、高温や熱波、大雨の頻度が、20世紀後半以降に増えた可能性が高いと指摘。

 さらに干ばつの影響を受ける地域や、強い熱帯低気圧の数が、1970年以降に高くなっている可能性が高いとし、極端現象のリスクはますます増加するだろうと懸念していた。

  1. 吉沢英将「6月下旬の猛暑はやっぱり「異常」 気象庁検討会長が見解」朝日新聞デジタル、2022年8月23日、https://digital.asahi.com/articles/ASQ8R3PX5Q8QUTIL03H.html
  2. chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://edo.jrc.ec.europa.eu/documents/news/GDO-EDODroughtNews202208_Europe.pdf
  3. BBC NEWS JAPAN「欧州の約6割で干ばつの危険、過去500年で最悪の状態=EU調査」2022年8月24日、https://www.bbc.com/japanese/62655406f
  4. JIJI.COM、AFP BB News「パキスタン、洪水死者1100人超 国土の3分の1水没」Yahoo!ニュース、8月30日、https://news.yahoo.co.jp/articles/ae8b60e27864b309adbd5f468491df2cb95a5097
  5. 時事ドットコムニュース「パキスタン洪水、雨量は平年の10倍 インダス川が「湖」に」2022年9月2日、https://www.jiji.com/jc/article?k=20220902043454a&g=afp
  6. 時事ドットコムニュース、2022年9月2日
  7. 気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)の長期変化」https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/index_extreme.html
  8. イミダス「極端現象」2010年6月、https://imidas.jp/hotkeyword/detail/K-00-103-10-06-H018.htmll