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4月23日に投開票された衆参の5つの補欠選挙は、結果、自民党が4勝1敗とした。自民は、衆議院千葉5区、和歌山1区、山口2区と4区、参議院大分選挙区の補欠選挙で勝利を収める。
岸田政権の「中間評価」とも位置付けられた今回の選挙では、自民は議席を１つ上積みはしたものの、結果的には多くの選挙区で「接戦」となる。維新は統一地方選挙につづき、議席を伸ばす。
一方、立憲民主党は、野党共闘が成立した参院大分を含め、擁立した候補が「全敗」した。法政大学大学院の白鳥浩教授は、ロイター通信の取材に対し、
「(自民）党内では３勝２敗との見立てが多かった。４勝１敗なら万々歳」
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だろうとする。
ただ、次の総選挙で「圧勝」を確信できるほどの勝ち方とはいえず、かといって、岸田文雄首相が近く、衆院解散の判断をするとの思惑は消えない。
衆院議員の任期は残り2年半以上あるものの、しかし与野党一騎打ちとなった大分選挙区でなどをことごとく勝ち越した接戦のまま、解散総選挙を迎えたいという自民党内の声はますます強まると予測される2。
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自民、無党派層に浸透せず
衆参の5つの補選を4勝1敗としたことで、自民党の茂木敏充幹事長は記者団に対し、「国民の皆さんから（岸田）政権に対して前向きな評価をいただいた」とコメント。
しかし共同通信が実施した出口調査によると、自民党候補は自民党支持層を固める一方、「支持政党がない」とした無党派層の支持では、立憲民主党や日本維新の会らの候補に水をあけられる。
事実、「5勝は難しくない」という事前予測は選挙戦の始まりとともに、すぐに消えた。
共同通信が14日、15日に電話調査などで情勢を探った結果、自民党が優勢だったのは、衆院の山口4区のみ。ほかは、自民党支持層すら固めきれていなかった3。
岸田政権は、2021年10月の衆院選、2022年7月の参院選を手堅く乗り切る。しかし今回の統一地方選挙につづき、1敗したのは、維新を勢いづかせる結果に。
苦戦を見越してか、自民党内は投票日前から責任の押し付け合いが始まっていた3。維新に敗北した和歌山は、二階俊博元幹事長、世耕弘成参院幹事長の地元であり、あるベテラン議員は、
「責任は重い」
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と強調。今後の政権運営に影響を与えそうな1敗だった。
維新、「地方議員600人以上」を達成
補選の衆院和歌山1区では、日本維新の会が議席を獲得。自民党候補を破った。無党派層の62％を取り込み、自民支持層の22％の票も確保した3（6）。
当初、維新は擁立を決めていなかった。しかし自民党が2021年の衆院選で比例復活もできなかった元議員の擁立を決めると、「勝機がある」と見越し、候補を決定。
わずか1カ月半の短期決戦を乗り切り、近畿地方での維新の底力を見せた。
統一地方選挙においても、維新は馬場伸幸代表が、進退を賭けて掲げた「地方議員600人以上」を達成する。
維新は、統一地方選の前半戦では、都道府県議選で、本拠地である大阪以外の神奈川や福岡で議席を獲得。後半戦の市議選でも勢いを見せた。
他方、当選は依然として関西地域に偏る。全国政党への道は遠い。しかし維新の内部には、600以上の目標達成には懐疑的な声もあったというものの4、馬場氏の
「達成できなければ代表を辞任する」
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との声は押し切った。”党の顔”であった松井一郎前代表（前大阪市長）に比べ、馬場氏は知名度や発信力の面で劣っている。結果、
「背水の陣で臨む覚悟を示す」（馬場氏周辺）
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ことで、自らの求心力を高めた形となった。
公明、地方選過去最高の落選
一方、公明党は「全員当選」を掲げて臨んだ統一地方選挙の候補者1555人のうち、12人が落選した。24日、山口那津男代表が記者会見で明らかにした。1998年に現在の公明党となって以降では最多の落選者の数。
公明党は統一地方選挙を国政選挙並みに重視し、高い当選率を維持してきただけに、
「衝撃的な結果」（関係者）
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として動揺が広がっている。山口氏は落選が相次いだ理由について、日本維新の会などに触れ、
「新興勢力にあおられる状況が続いている」
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と説明。
一方で指摘されているが、創価学会の会員高齢化による組織力の低下だ。
自民党の勝敗ライン「3勝2敗」を上回る「4勝1敗」となった衆参補選となった今回の選挙戦。
永田町の焦点は、「岸田首相はいつ、解散総選挙に踏み切か」に移りつつあるが、とはいえ、山口4区以外では苦戦を強いられたのも事実。
自民党の関係者は、
「今、解散・総選挙に打って出れば都市部で議席を大幅に減らすのは必至。統一地方選の票の出方だと、首都圏の議席は半減してもおかしくない」
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と嘆く。
- 竹本能文、山口貴也 編集：久保信博「焦点：不安残した自民「4勝1敗」、総選挙にらみ財政拡張圧力も」REUTERS、ニューズウィーク日本版、2023年4月24日、https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2023/04/442793.php
- 河合仁志「早期解散論に追い風」西日本新聞、2023年4月24日付朝刊、1項
- 西日本新聞「岸田自民 激戦しのぐ」2023年4月24日付朝刊、3項
- 西日本新聞「維新 地方議員600人以上達成」2023年4月24日付朝刊、2項
- 西日本新聞、2023年4月24日付朝刊、2項
- 時事ドットコム「統一選12人落選、公明動揺 98年以来最多」Yahoo!ニュース、2023年4月24日、https://news.yahoo.co.jp/articles/6f23b9e5e0815a52be0c70e60b81f57b085c5871
- 時事ドットコム、2023年4月24日
- 日刊ゲンダイ「東京21区議選の結果に自民真っ青…首都圏の議席壊滅危機で衆院解散に急ブレーキ」Yahoo!ニュース、2023年4月25日、https://news.yahoo.co.jp/articles/f5d3313fe329bf7afdcaea6ded7d7338d07b8025
