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旧統一教会などの問題が尾を引き、内閣支持率の下落が止まらないなか、岸田首相は、
「前例のない対応」
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を決めた。宗教法人法に基づく「質問権」を初めて行使し、教団を調査する方針。「解散命令」につながる可能性もあり、教団をめぐる問題では、大きな転換点を迎える。
そもそも政府は当初、「信教の自由」との兼ね合いもあり、解散命令については消極的だった。9月に国会内で開かれた野党の会合では、文化庁は、
「旧統一教会の役職員が刑罰を受けた事案を承知しておらず、『解散命令』の請求の要件を満たしていないと考えている」
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とする。しかし、10月に入り、教団と山際経済再生担当大臣との関係が判明したあたりから変化が。10月6日の代表質問で岸田首相の答弁に変化が。
「『解散命令』の請求は『信教の自由』を保障する観点から『慎重』に判断する必要があると考えているが、宗教団体に法令から逸脱する行為があれば『厳正に対処』する必要がある」
と、「慎重に」とは言いつつも、しかし「厳正に対処する」という微妙な変化がみられた。
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質問権とは
質問権は宗教法人法により、規定。1990年代のオウム真理教が絡んだ一連の事件を受け、1996年に法制化。しかし、実際に行使された例はない。
質問権とは
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「宗教法人に法令違反など疑われる場合、運営実態などの報告をもとめたり、質問できる」
宗教法人 質問に応じない・虚偽の報告→代表の役員 10万円以下の過料
宗教法人法では、宗教法人に法令違反などが疑われる場合、文部科学省などが運営実態などについて報告を求めたり、質問したりすることができる。
その後の手続きで、裁判所の決定次第では、宗教法人の「解散命令」につながる可能性も。
質問権における手続きでは、「信教の自由」を妨ないための一定のルールが。政府が質問権を行使する場合、有識者などの審議会の意見を聞かないとならない。
質問の結果、法令違反などを確認し、「著しく公共の福祉を害する」などと判断された場合、裁判所に解散命令を請求することができ、裁判所は実際に命令を出すか判断する。
つまり、政府は”一気に”解散命令を裁判所に請求するのではなく、「信教の自由」との関係を踏まえ、手続きに時間はかかっても調査を行い、具体的な事実関係を把握したうえで、請求を検討する方針だ2。
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「質問権」をめぐる課題
質問権の行使にあたり、政府は基本的な考えや基準が必要だとし、25日、初めての専門家会議を開いた。
一方、旧統一教会の勅使河原秀行教会改革推進本部長は20日、会見で、
「仮に質問が、実際に私どものところに来た時には誠実に対応します。質問権の行使にかかわらず、すでに宣言している、“教会改革”を進めることを粛々と続けて参りたい」
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と話す。
一方、宗教法人法に詳しい近畿大学の田近肇教授は、NHKの取材に対し、「質問権」の行使については、原則として法人の管理や資金に関することが対象になるとし、
「あまり踏み込みすぎると、憲法で保障される『信教の自由』との関係で問題が生じるおそれがある。
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違法な活動が問題になった際に宗教上の問題にまで踏み込んで質問することができるのか、あるいは、どういう形であれば質問できるのか、考え方を整理しておく必要がある」
とした。
ただ、質問権は警察の捜査のような強い権限はなく、教団の帳簿などを強制的に提出させることもできない。田近教授は、
「組織的、あるいは継続的に悪質な行為をしていることを証明するのは、決して簡単なことではない」
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とする。
教団側、自民議員と「政策協定」 教団関係者「ここ最近のこと」
一方、教団の友好団体である「世界平和連合」と「平和大使協議会」が、今年に夏の参院選や昨年の衆院選の際、自民党の国会議員数十人に対し、憲法改正や家庭教育支援法の制定などに賛同するよう明記した「推薦確認書」を提示し、署名を求めていたことが、朝日新聞の取材で明らかに。
教団の関係者は、
「選挙で推薦確認書への署名を求め始めたのはここ数年のこと」
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とする。
選挙を実際に支援しても主張が取り入れられないのは問題との声が教団内で強まったからであるという。また昨年夏の菅政権下でも、新型コロナ対応をめぐり、逆風にさらされ、
「衆院選は厳しい戦いになると考えていた。教団側に頼らざるを得ない状況だった」
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とある国会議員の秘書は話した。
政策協定とは、選挙の際に政党や候補者と業界団体や労働組合などが結ぶ。候補者は支援を受ける代わりに選挙当選後、団体などが掲げる政策に取り組む。
自民党は、衆院選や参院選における政策集に家庭教育支援法や青少年健全育成基本法の制定を盛り込んでおり、推薦確認書の内容も一致する。あるいは、憲法改正や安全保障の点についても重なる部分は多い。