要約
フジ・メディア・ホールディングスは2024年度に201億円の赤字見通しを発表し、社長ら4人の退任も決定した。中居正広氏の性暴力疑惑による不祥事でスポンサー離れが進んだことが主因である。フジテレビは歪な組織構造を改めるため、編成局などを再編し、アナウンス室の独立と権限強化を図る。
記事のポイント
- 中居正広氏の性暴力疑惑を発端にスポンサーが離れ、フジ・メディアHDは201億円の赤字見通しを発表。
- 社長含む4人の取締役が退任へ。
- 組織内の権力構造見直しのため、編成局の再編とアナウンス室の独立を含む改革を実施予定。
フジテレビおよび親会社のフジ・メディア・ホールディングスは、2024年度決算において201億円の最終赤字に転落する見通しを発表した。これは同社が持株会社化した2008年以降で初の赤字であり、同時に金光修社長を含む4人の取締役が、6月の定時株主総会後に退任することも明らかにされた1。
赤字転落の主因は、元タレント中居正広氏による性暴力疑惑を発端とした一連の不祥事にある。これによりスポンサーが相次いでCM出稿を見送り、経営に大きな打撃を与えた。
根本的な要因として指摘されているのが、「楽しくなければテレビじゃない」という過度な価値観に基づいた番組制作方針と、それを支える歪な組織構造である。編成局やバラエティ制作局が強い権限を持ち、アナウンス室が従属的な地位に置かれていたことで、パワハラや人権侵害が黙認されやすい環境が形成されていた。
これを受け、フジテレビは組織改革に踏み切る。編成局およびバラエティ制作局の再編を行うとともに、アナウンス室を独立部門として再構築し、出演者の起用やマネジメントに対する発言権を強化する方針である2。改革の狙いは、アナウンサーの人権尊重と職場環境の改善にある。
決算の概要
- 2024年度(2024年4月1日~2025年3月31日)の連結売上高は5,664億円で、前年同期比5.8%の増収となった。
- 連結営業利益は180億円で、前年の約半分(約46%減)と大きく減少した。
- 最終損益(親会社株主に帰属する当期純利益)は201億円の赤字となり、認定放送持株会社移行後、初の最終赤字に転落した。
- メディア・コンテンツ事業(フジテレビを含む)は広告収入の大幅減少により、33億円の営業赤字となった。
- 都市開発・観光事業やホテル事業は増収増益で、全体の売上高を押し上げた。
- 一連の不祥事によるCM出稿停止や減損損失の計上が、業績悪化の主因となった。
- 総資産は1兆4,488億円(前期比4.8%増)、純資産は8,696億円(前期比増加)となった。
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