要約
NST新潟総合テレビが、実際には制作していないCM費用を架空計上し、約11億円の所得隠しを国税局に指摘された。約4億円の追徴課税が見込まれている。民放局によるCM制作を巡る不正は異例だが、同様の手口は業界に根強く存在する。地方局の経営悪化や接待文化、過剰な営業ノルマが不正の温床となっており、広告会社との関係強化がモラルより成果を優先する構造的問題を助長している。
記事のポイント
- フジテレビ系列のNST新潟総合テレビが、CM制作費の架空計上によって約11億円の所得隠しを行い、約4億円の追徴課税を受ける見込みとなった。
- 民放テレビ局によるCM関連の不正は異例だが、裏金の接待流用は業界で繰り返される構造的問題でもある。
- 地方局の経営悪化と広告会社との癒着が接待文化を助長し、不透明な経費処理と成果優先の風土が不正の温床となっている可能性も。
Summary
NST Niigata General TV was found by the National Tax Bureau to have concealed approximately 1.1 billion yen in income by fictitiously recording commercial expenses that were not actually produced. The company is expected to pay an additional tax of approximately 400 million yen. Although it is unusual for a commercial TV station to commit fraud in the production of commercials, similar tactics are deeply rooted in the industry. The deteriorating management of local stations, the culture of business entertainment, and excessive sales quotas have become breeding grounds for fraud, and the strengthening of relationships with advertising companies has contributed to a structural problem in which results are prioritized over morals.
フジテレビ系列のNST新潟総合テレビが、約11億円に上る所得隠しを関東信越国税局から指摘された。実際にはCMを制作していないにもかかわらず、CM制作費として架空の経費を計上していたと認定され、重加算税を含む約4億円の法人税が追徴課税される見通しだ1。
民放テレビ局がCM制作をめぐって不正を指摘されるのは極めて異例である。しかし、実態のない外注費を計上し、裏金として接待に流用するという手口は、過去にも類似のケースが報じられており、テレビ業界の構造的な問題が浮き彫りとなっている。
特に近年、地方局では経営環境の悪化が深刻さを増し、営業現場には過剰なノルマとプレッシャーが課されている。広告会社との関係を強化することが営業活動の中心となり、接待や便宜供与が「成果を上げる手段」として黙認されがちだ。
現場では「金額を提示しなければCM枠が取れない」「誰と付き合うかで仕事が決まる」といった空気が蔓延し、裏金づくりの温床となっていた。加えて、業界全体に根付く接待文化や経費処理の不透明さが、こうした行為を助長してきた。
地方局では依然としてCM収入への依存度が高く、放送外収入の多角化も進んでいない。このような構造的な脆弱性が、モラルよりも営業成果を優先する組織風土を生み、不正の温床となっている可能性がある。

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