【本日のニュース 2025年6月9日(月)】米ロサンゼルスで州兵動員 移民摘発に抗議デモ、連邦と州が激しく対立

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Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像

要約

ロサンゼルスで不法移民摘発を契機にデモが暴徒化し、州知事の要請を経ず大統領命令で州兵が派遣されたのは極めて異例であり、連邦制の原則にも関わる。過去の暴動対応とは手続きが異なり、歴史的にも特筆される。また、不法滞在は日本人を含む先進国出身者にも起こり得る問題である。

記事のポイント

  • ロサンゼルスで不法移民摘発を契機に抗議デモが暴徒化し、トランプ大統領が州知事の要請なしに2,000人規模の州兵を大統領命令で派遣したことは、連邦制を揺るがす極めて異例の措置。
  • 州兵の直接動員(連邦化)は1965年のSelma行進以来初めてで、過去のワッツ暴動や1992年暴動のような州知事主導とは手続きが根本的に異なる展開。
  • 一方で、ビザ更新ミスやESTAの誤解により、日本人を含む先進国出身者も不法滞在となる事例が報告されており、本問題は国籍を問わず起こり得る社会的課題

Summary

It is highly unusual for the National Guard to be dispatched by presidential order without a request from the governor of a state, when demonstrations turned violent in Los Angeles following the detection of illegal immigrants, and it is also related to the principle of federalism. The procedure differs from past riot responses and is historically noteworthy. Illegal immigration is also a problem that can occur to people from developed countries, including Japanese nationals.

 米ロサンゼルスで、連邦政府による不法移民の一斉摘発をきっかけに抗議デモが激化し、暴徒化に伴って州兵が動員された。州兵の派遣は、通常必要とされる州知事の要請を経ず、大統領の命令によって実施され、極めて異例な措置となった1

 ロサンゼルスは1965年の移民法改正以降、多民族都市として発展してきたが、近年は不法移民問題をめぐって移民コミュニティと当局の対立が先鋭化している。こうした中での州兵出動は、アメリカ連邦制の枠組みに影響を及ぼす深刻な事態といえる2

 反乱法などに基づく大統領の州兵指揮権発動は、1965年のワッツ暴動や1992年のロサンゼルス暴動などがあったが、今回の事例も特筆すべき展開である3。1965年のワッツ暴動では、当時のカリフォルニア州知事の要請により州兵が出動(大統領命令ではない)。

 1992年のロサンゼルス暴動(ロドニー・キング事件)でも、当初は州知事による州兵動員で、後に連邦化(Title 10)されて大統領指揮下に置かれた。

 なお、米国には滞在資格を失った日本人も存在する。たとえば観光や留学目的で渡米した後、ビザ更新の失念やESTA条件の誤認により、意図せず不法滞在となるケースも報告されている。とくに近年は、制度の複雑さや情報不足によって、先進国からの渡航者も不本意に不法滞在者となるケースも目立ってきている。

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不法移民はいつ〈不法〉でなくなるのか 滞在時間から滞在権へ
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  1. 米LA 移民摘発めぐる抗議デモ 警察「暴力的になっている」. (2025). Retrieved 9 June 2025, from https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250609/k10014829521000.html 
  2. ロサンゼルスに州兵、知事「派遣は違法」 移民摘発巡る抗議デモ. (2025). Retrieved 9 June 2025, from https://jp.reuters.com/world/security/QBBMZVPFKVMA7PGHB5KT2T4PLU-2025-06-08/ 
  3. 【解説】 アメリカ大統領はどういう場合、アメリカ国内に州兵を派遣できるのか. (2025). Retrieved 9 June 2025, from https://www.bbc.com/japanese/articles/c8d1nlm0mqyo 
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