chethan KumarによるPixabayからの画像
要約
カシミール地方で銃撃事件が発生し、観光客を含む26人が死亡。インドはパキスタンのテロ支援を非難し、国境封鎖やビザ停止などの対抗措置を実施。カシミールは1947年の独立以来、両国が争う紛争地で、近年インドの自治権廃止により緊張が激化している。
記事のポイント
- カシミール地方で銃撃事件が発生し、観光客含む26人が死亡、インドはテロと断定。
- インドはパキスタンへの対抗措置として国境封鎖、ビザ停止、外交官追放を実施。
- 両国の対立は歴史的背景が深く、近年はカシミール自治権廃止で緊張が激化。
22日、インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方のインド実効支配地域で銃撃事件が発生し、観光客を含む26人が死亡した。インド政府はこの事件をテロ行為と非難し、パキスタン政府がテロリストを支援しているとして、厳しい対抗措置を講じると発表した。
具体的には、インドはパキスタンとの主要な国境検問所を封鎖し、パキスタン国民へのビザ発給を停止。また、パキスタン外交官の追放や、インダス川の水資源配分に関する条約の履行停止も発表している。モディ首相は「すべてのテロリストおよびその支援者を特定し、厳正に対処する」と強硬な姿勢を示した。
カシミール地方は1947年のインド・パキスタン分離独立以降、両国が領有権を主張してきた紛争地である。イスラム教徒が多数を占めるこの地域は、当時のヒンドゥー教徒の藩王がインドへの帰属を決めたことから対立が始まった。その後、両国は複数回にわたる戦争や武力衝突を繰り返し、国際社会による調停や国連監視団の派遣にもかかわらず、抜本的な解決には至っていない。
近年では、インド政府がカシミールの自治権を廃止し、中央政府の直轄地としたことがパキスタンの強い反発を招き、地域の緊張は一層高まっている1。
カシミール地域とは?
- カシミール地域はインド北部とパキスタン北東部、中国西部にまたがる山岳地帯で、インダス川の上流域やヒマラヤ山脈、カラコルム山脈などの高地が広がっている。
- 総面積は約22万2000平方キロメートルで、日本の本州にほぼ等しい広さを持つ。
- 現在、インド、パキスタン、中国の3か国が領有権を主張しており、特にインドとパキスタンの対立が激しい係争地である。
- インドが実効支配するジャンムー・カシミール州(現:ジャンムー・カシミール連邦直轄地とラダック連邦直轄地)、パキスタンが実効支配するアザド・カシミールおよびギルギット・バルティスターン、中国が実効支配するアクサイチンなどに分割されている。
- 歴史的には仏教、ヒンドゥー教、イスラム教など多様な宗教と文化が交錯し、14世紀以降はイスラム教徒が多数派となった。
- 豊かな自然景観や伝統工芸(カシミヤ織、絨毯、刺繍など)で知られ、観光地としても人気が高い。
- 1947年のインド・パキスタン分離独立以降、両国間で複数回の戦争や武力衝突が発生し、現在も緊張状態が続いている。
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