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新型コロナウイルワクチンの4回目の接種が始まった。接種の対象者となるのは、60歳以上の人と、そして18歳以上の基礎疾患のある人など。
4回目接種は、重症化の予防を主な目的としているため、第一に60歳以上の高齢者を対象としている。
さらに、18歳以上の基礎疾患のある人か、医師が重症化リスクの高いと判断した人も接種対象者となるが、当てはまる「基礎疾患」の対象者が具体的にどのような人なのか、メディアでは報道されていない。
基礎疾患をもつ人が接種する場合、接種券については原則、本人などからの申請が必要。診断書などの書類の提出は不要であるが、しかし接種前の予診で申請内容と実際の症状が異なる場合は、接種を受けられない場合がある。
ただ、自身が具体的に対象となるか詳しくわからない場合は、事前にかかりつけ医などに相談することが望ましい。
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新型コロナウイルスワクチンは4回目接種へ 対象者は? 効果は?
「基礎疾患」の対象者
国の予防接種・ワクチン分科会等での議論の結果、基礎疾患を持つ人の範囲は次の通りとなった。
18歳以上60歳未満で以下の病気や状態の方で、通院/入院している人で、
1.慢性の呼吸器の病気
東京都江東区ホームページ
2.慢性の心臓病 (高血圧を含む)
3.慢性の腎臓病
4.慢性の肝臓病(肝硬変等)
5.インスリンや飲み薬で治療中の 糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病
6.血液の病気(鉄欠乏性貧血を除く)
7.免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む)
8.ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
9.免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
10.神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態 (呼吸障害等)
11.染色体異常
12.重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態)
13.睡眠 時無呼吸 症候群
14.重い精神疾患(精神疾患の治療のため入院している、精神障害者保健福祉手帳を所持している 、又は自立支援医療(精神通院医療)で「重度かつ継続」に該当する場合)や知的障害(療育手帳を所持している場合)
また、以下の基準の人も対象となる。
東京都江東区ホームページ
【基準( BMI 30 以上 )を満たす肥満の方】
*BMI30 の目安:身長 170cm で 体重約 87kg 、 身長 160cm で 体重約 77kg
いずれにしろ、かかりつけの主治医と相談のうえ、接種を検討する必要がある。
背景
4回目のワクチン接種にかかわらず、1回目の接種時から、基礎疾患を持つ人、および肥満のへの接種は優先されてきた経緯がある。
国内外問わず、多数の研究により、これら慢性的な病気を持つ人が新型コロナウイルスに感染した場合、一般的な人よりも重症化するリスクが高い傾向があったためだ。
⾼⾎圧や糖尿病、喘息、肥満、心筋梗塞、心不全、腎臓の病気などの基礎疾患があっても、ワクチンを接種することができます。
厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」
新型コロナウイルスに感染した場合、重症化するリスクが他の⽅よりも⾼いため、こうした病気の治療等のために通院・入院されている方は、「基礎疾患を有する者」として優先接種の対象となっています。
がん、⾻髄移植や臓器移植後、先天性免疫不全、HIVに感染している方などは、一般的に免疫力が低下する傾向にあると考えられます。免疫力が低下している⽅は、かかりつけの医師に接種の可否を相談する必要がありますが、新型コロナウイルスに感染した場合には重症化するリスクが他の⽅よりも⾼いため、他に接種してはいけない理由がなければ、一般的に接種が勧められています。
また、「免疫の機能が低下する病気(治療や緩和ケアを受けている悪性腫瘍を含む。)」がある⽅は「基礎疾患を有する者」として優先接種の対象となっています。
血友病など血が止まりにくい病気のある方は、筋肉内出血のリスクがあるため、接種後に、接種部位を圧迫していただく必要がありますが、接種は可能です。主治医とご相談をお願いします。
けいれん発作が起こる方も、けいれん発作状況がよく確認されており、病状と体調が安定していれば、主治医と相談の上、接種することができます。子どもの頃に熱性けいれんを起こしたことのある方も、接種することができます。
発熱によってけいれん発作が生じやすい方については、接種後に熱が出た場合の発作予防策や発作時の対策をあらかじめ主治医と相談しましょう。
一方で、
慢性的な病気のある方もワクチン接種ができる場合が多いですが、病気が悪化しているときには避けた方がよいと考えられます。また、かかっている病気によっては、注意した方がよい点があります。
厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」
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と厚労省のホームページには記載。そのため、主治医と相談のうえ、接種することが望ましい。
課題となる周知 自治体ごとに異なる対応
メディアだけでなく、自治体の周知も課題となっている。とくに基礎疾患をもつ人については、現状、自治体が把握できていない場合があり、接種を進める自治体の対応は分かれている。
東京都の台東区では、基礎疾患をもつ対象者のうち、1回目と2回目の接種時において「優先接種」を申し込んだ人については記録があるという。
記録がある5000人については、本人の申請がなくても接種券を配送するが、しかし基礎疾患を把握できない人も約1000人いると推計。
担当者は、
把握できる対象者には確実に接種券を送り、そうでない人にも広報誌などでお知らせして、自分が対象者だと知らなかったという人を極力減らしたい
毎日新聞、2022年5月25日
と話した。
一方、同じ東京都内でも、足立区では、基礎疾患をもつとされる対象者が1万5000人と、台東区よりも多い。
そのため、正確に把握することが困難であるとするため、自分でホームページなどから申請することを求めた。また、広報誌やSNS、医療機関でチラシを配布するなどし、周知する。
他方、大阪市は4回目の接種券は、基礎疾患の有無を問わず、「18歳以上の全員」に配布することを決めた。
3回目の接種から5カ月を経過した人が配布対象者で、今月20日から配布。しかしながら、今後、国の方針により、4回目の接種対象者が広がる可能性があるという。
そのため、現在は対象となっていない人を含め、接種券の保管を呼び掛けている。
参考文献
秋丸生帆、松本紫帆、山縣章子『基礎疾患ある人の4回目接種 周知どうする? 自治体、分かれる対応』毎日新聞、Yahoo!ニュース、2022年5月25日、https://news.yahoo.co.jp/articles/3a38ecb678e9efe15e97204ed294ae16d9c084a6。
厚生労働省『新型コロナウイルスQ&A』https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0031.html。
江東区『新型コロナワクチン4回目接種 60歳未満で基礎疾患がある方の接種券申請を受付』https://www.city.koto.lg.jp/291101/kisomousikomi.html。