サル痘 国内で初確認 感染するとどんな症状が出る? ワクチンは? 治療薬は?

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 サル痘の国内初感染例が確認された。

 厚生労働省は25日、欧米を中心に患者が増加している、ウイルス感染症「サル痘」について、国内で初めて感染者が確認されたと発表。

 感染者は、欧州に滞在歴のある東京都内に住む30代の男性で、現在、都内の病院に入院している。発熱や発疹、頭痛、倦怠感の症状があるが、状態は安定しているという1

 サル痘は、根絶された天然痘に似た感染症。人から人への感染はまれで、新型コロナウイルスのような大規模な市中感染が起こる可能性は低い2。多くの場合、重症化はせず自然回復するため、冷静な対応が求められる。

 サル痘は、1958年に研究用のサルから見つかり、1970年にコンゴ(旧ザイール)で、人への感染が初めて確認された。

 自然宿主は、アフリカに生息するリスなどのげっ歯類とされ、ウイルスを持つ動物に噛まれたときなどに感染する。

 人から人には、感染者の発疹との接触や近距離からの飛沫、感染者が使った寝具などを介し、うつることがあるという。

 ただ、今年5月以降の欧米を中心とした広がりは、

 これまでの知見と異なっている。

(厚生労働省)時事ドットコムニュース、2022年7月26日

とされ、男性間の性交渉で感染した例もある。

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WHO 緊急事態を宣言 5月から世界各地で感染が急増 70カ国・地域超に拡大

 サル痘の感染者は、欧米のみならず韓国や台湾など、すでに東アジア地域でも確認。新型コロナにおいて水際対策を緩和した日本への流入は、時間の問題と見られていた。

 ただ、専門家は新型コロナのように爆発的に広がるリスクは低いものの、しかし感染に備えるための体制の整備が必要であると指摘。政府は、ワクチンの接種や治療の準備を急ピッチで進めている。

 WHO(世界保健機関)も23日、サル痘の拡大を、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と判断。

 感染の拡大は、5月にかけて欧米を中心に、外国旅行をしていない人も含め患者が急増、WHOは7月23日、75カ国の国・地域で1万6000人が感染したと明らかに。死者も5人に上った。

 患者はこれまでのところ、男性と性行為をする男性がほとんどであり、重点的に啓発活動などが行われている。ただ、女性や子どもの患者も存在し、病気と性的指向とを結びつけないようにすることが必要となってくる。

 国立感染症研究所などによると、サル痘は、ウイルスを持つ動物に噛まれると感染する。人から人へも感染はするものの、簡単にはうつることはない。

 感染経路は、体液や発疹に触れることによる接触感染が主で、空気感染はしないという。

症状 多くの場合、軽傷で自然に回復はする


 国立感染研究所やWHOによると、サル痘ウイルスの潜伏期間は通常7日から14日間で、潜伏期間のあと、発熱や頭痛、リンパ節の腫脹、筋肉痛などが1日から5日間ぐらい続き、その後、発疹が出るという。

 発疹は、主に顔面から始まり、体じゅうに広がる。それが徐々に膨らみ水疱(水ぶくれ)になり、うみが出て、かさぶたとなり、発症から2~4週間で治癒するという。

 多くの場合、軽傷で自然に回復はするものの、しかし肺炎や敗血症などの合併症を引き起こす場合があり、年齢が低い人ほど、重症化しやすい傾向。

 ブラジルでサル痘に感染した男性が25日に主要紙のグロボに証言している。それによると、腕などにできた水疱が、

 やけどのように痛んだ。

西日本新聞7月26日

と語っている。

 男性は、サンパウロの住む20代。6月半ばに強い痛みを感じ、39℃の熱が出た。翌日に病院に行き、あごひげ付近や胸、腕、ももなど「体毛の濃い部分」に発疹が見つかった。

 その後、感染症の専門施設に行き、48時間後にサル痘と診断。医師からは、

 命には関わらないが、症例が少ないため、治療法や薬はない。

西日本新聞7月26日

と説明された。男性はその後自宅で隔離に入り、39~40℃に熱が1週間続いた。

 発疹は水疱の状態だとひどく痛み、シャツを着るために腕を上げることもできないほど。

西日本新聞7月26日

という。

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治療法 ワクチンと治療薬について


 治療法についてはどうか。

 まずワクチンについて述べていく。サル痘と天然痘とのウイルスは似ていて、WHOは第1世代の天然痘ワクチンがサル痘に対しても、最大85%の予防効果を示すとする3

 現在、天然痘のワクチンは2種類ある。

 一つは、デンマークのババリアン・ノルディックが製造しているもの。これは、アメリカでは天然痘とサル痘の両方の予防ワクチンとして承認。

 EUでは天然痘用としてだけ承認されているが、医師はサル痘にも適応外として使用可能。

 もう一つは古いワクチンで、現在はエマージェント・バイオソリューションズが製造している。

 ただ、これは、接種部位の痛みや倦怠感といったワクチンとしては一般的な副反応のほか、心臓の炎症、失明、死亡など重篤な副反応の可能性があり、重大な警告が示されている。

 サル痘に感染した場合、輸液や二次的な細菌感染に対する治療が行われている。

 アメリカと欧州では、「tecovirimat」と呼ばれる抗ウイルス薬が天然痘治療薬として承認されている。ヨーロッパでの承認では、サル痘と牛痘も含まれている。

 またアメリカでは、米チメリックスが開発した「Tembexa」というブランドも天然痘治療薬として承認。ただ、サル痘に効果があるかどうかは不明という。

  1. 西日本新聞7月26日付朝刊 
  2. 時事ドットコムニュース「大規模流行の恐れ小さく サル痘、多くは自然回復」2022年7月26日、https://www.jiji.com/jc/article?k=2022072500891&g=soc 
  3. AnswersNews「感染相次ぐサル痘、ワクチンや治療薬にはどんなものがあるのか」2022年5月26日、https://answers.ten-navi.com/pharmanews/23243/ 
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