日本の映画界で、「セクハラ」「パワハラ」の問題が相次いでいる。
週刊文春が3月、榊英雄監督が複数の女性俳優に性行為を強要したと報じたことが発端に。4月には、国際的にも有名な園子温監督が、複数の女性俳優に性的関係を迫ったと「週刊女性」が報じた。両監督は謝罪したものの、一部を否定している。
一方、「文春オンライン」は、河瀨直美監督が映画「朝が来る(2020年公開)で撮影助手のスタッフにパワハラを行ったと報じた。
ただ、映画業界だけでなく、芸能分野、あるいはアートや演劇分野では、このような問題は昔から存在したといわれる。
2021年3月、アートや演劇などさまざまな表現活動にかかわる人に対してハラスメントについての調査結果をまとめた報告書「『表現の自由」ハラスメント2021」が発表、大きな反響を呼んだ。
それによると、映像分野では長時間労働などの労働問題をはじめ、男女差別から生じるハラスメントまで、さまざまな被害が寄せられたという。
この白書では、映像分野のハラスメントについて、以下のようにまとめられた。
映像分野は、他の表現分野と⽐べても、ハラスメント被害報告が多かった。集団で⻑時間の制作に関わり、スケジュールがタイトで、契約慣⾏も弱い。また、男⼥差別も根強く残っていることから、さまざまな被害実態が投稿された
ただ、エンターテインメント分野における問題は、日本だけでなくハリウッドを含め、世界中で起きている。そのたびにさまざまな改善策が取られてきた。
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なぜ、長年にわたり日本映画界で問題が放置されてきたのか
エンターテインメント業界における労働環境の問題は、俳優陣への「セクハラ」「パワハラ」にとどまらず、裏方として働くスタッフにも被害があらわれている。なぜ問題が、長年にわたり放置さえてきたのか。
さきの「『表現の現場』ハラスメント白書2021」の調査を実施した「表現の現場調査団」に共感し、自ら昨年4月から参加した映画監督である深田晃司監督(「よこがお」「淵に立つ」)は、このように語っている。